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里川の生物多様性タナゴって?生態系についてため池と池干しタナゴと外来種もくじ

タナゴってどんな魚?

アブラボテ オスアブラボテ メス
コイ科の淡水魚(川魚)です。写真はアブラボテというタナゴの仲間です。


どんな大きさ? 

全長約5〜10センチくらいの小魚です。
種類や場所によって、大きさもさまざまですが、コイやフナにくらべるとタナゴの仲間はみんな小魚です。
そのためもあって、小さな水路などで、子どもたちの遊び相手にもなってくれます。

何種類いるの?

日本にはもともと、16種類のタナゴのなかま仲間が棲んでいました。
また、外国から来たタナゴが、2種類ほど、日本にも生息しているようです。
最近まで、それぞれの場所に合わせて、いろいろな種類のタナゴが棲んでいますが、いつの間にか外国から来たタナゴばっかりになってしまう場所が増えています。




同じ種類のタナゴでも


三重県 滋賀県

わたしたちの研究では、同じ種類のタナゴでも、場所によって顔や色、生活や性格も違うことがわかってきました。
たとえば、写真は「アブラボテ」というタナゴの仲間ですが、となり同士の三重県と滋賀県で顔が全然違います。当然、遺伝子にも違いがあります。



どこにいるの?

タナゴの仲間は、青森県から鹿児島県までの水路やため池、川の中にいます。
田んぼの横っちょや、ため池など、多くの人にとって身近な場所がタナゴの棲む場所となっています。
残念なのですが、現在、急速に見られる場所が減っています。



食べられるの?

タナゴは食べると苦く、英語ではビタリング(苦いヤツ)と呼ばれます。
地域によって食べたり食べなかったり...
岐阜県のおじさんたちから聞いたのですが、子どものころ、お弁当にタナゴが入っていると苦くてイヤだったそうです。 おつまみとか大人の味ですね。
秋田県では、辛い塩で煮干しにして、千葉県では、串焼き(すずめ焼き)、茨城県では甘露煮がお土産に売られています。
それぞれ、結構おいしいですよ!




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どうやって卵を産むの? 

タナゴは二枚貝に産卵するめずらしい魚です。
タナゴは生きている二枚貝に産卵するめずらしい魚です。
産卵の季節になるとオスにきれいな婚姻色があらわれ、メスには産卵管とよばれる長い管がおしりからのびてきます。
タナゴのメスは、産卵管を二枚貝の出水孔(しゅっすいこう、貝が息を吐くところ)にさしこんで、貝のえらに卵を産みつけます。
卵は二枚貝の中でふ化します。
そして貝の中で少し大きくなってから、二枚貝から泳いで出てきます。


婚姻色 ( こんいんしょく ) ??

産卵の季節になると、オスの体がきれいに色づきます。これを婚姻色といいます。
オスはメスに自分をアピールするために、きれいな婚姻色をあらわすのです。
タナゴの世界では、男子力が強いオスほどよりきれいな婚姻色になるようです。


産卵管 ( さんらんかん )

同じく、産卵の季節になると、メスにも変化がでてきます。
メスのおしりからのびているのは、いっけんタナゴの"うんち"のように見えますが、産卵管といって、卵を産むための管なのです。



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なぜ減ってしまったの? 

日本にもともと棲んでいた、16種類のタナゴは、すべてが、国や都府県のレッドデータブックにのっています。レッドデータブックとは、絶滅のおそれのある野生生物について書かれたもののことです。
タナゴは希少種といって、見られる場所や生きている数が少ない生物となってしまっています。
タナゴはなぜ減っているのでしょう。


開発で棲める場所が減っている?

水路がコンクリートになったり、ため池が埋め立てられたり、タナゴが棲める場所が減っています。
ちょっと前まで田んぼだった所が道路も立派になって、スーパーが出来たり、住宅地になったりしています。
また、田んぼも機械化が進んで、大きなまっすぐな田んぼになったりしています。
川や池の土手も崩れにくく、草刈りなどしなくていいように、コンクリートになっています。
私たちの生活は、どんどん便利になっていますが、タナゴが棲める場所も減っています。


ため池の管理の変化?

ダムが出来たり、田んぼが減ったりで、普段は農業に使われないため池が増えています。
また、機械化で農家の人が少なくなって、みんなでやる「池干し」や水路の草刈りが大変になっています。
そのため、ため池や水路にドロがたまって、水が悪くなったり、タナゴの繁殖に必要な、二枚貝が生きていけなくなる事が分かって来ました。



外来種?

外来種とは、他の地域から持ち込まれた生物のことです。
外来種がやって来てタナゴが減っています。
ブラックバスやブルーギルはタナゴや稚魚を食べてしまいますし、アメリカザリガニは二枚貝を食べてしまいます。
特にブラックバスやブルーギルが、タナゴの棲んでいるため池に放流されると、あっという間にタナゴが見られなくなります。
私たちは東海地方で100箇所以上のため池を調べましたが、ほとんど(72%)のため池では、魚はブラックバスとブルーギルしかいませんでした。



タナゴ釣り

タナゴ釣りを趣味にしている方もいます。 特に関東地方で多いようです。
江戸時代、たくさんの荷物を運ぶのに、トラックではなく船が使われていた頃には、お屋敷の前で釣りやすい魚だったのでしょうか。
「金のオモリ」とか、「うるしのウキ」とか、「美女の髪の毛の糸」とか、とても贅沢な江戸セレブの釣りだったという言い伝えもあります。
タナゴがケガをしないようなハリを使って、こだわりの道具で小さな魚を釣るのは粋(いき)ですね。
実際に、やってみるとキラキラのタナゴが釣れた瞬間、ため息が出そうなくらいうれしいです。
最近は、残念ながらタナゴが減っていて、タナゴ釣りが出来る場所が減ってきています。


地域の宝物「タナゴ」 

タナゴは、田んぼの横っちょなどにいる身近な魚です。
それぞれの地域ごとに、それぞれ、いろいろな種類や顔のタナゴがいて、地域の特色になっています。
おじいちゃんたちの自慢話にも、子どもの頃に捕まえた、地元のタナゴの美しい婚姻色が出てきたりします。
また、タナゴが生きていくためには、二枚貝やヨシノボリなどの他の生き物も生きていける環境をつくって行く必要があり、水路の掃除やため池「池干し」など、地域のみんなの協力が必要です。
地域のみんなで、地域のタナゴをまもっていく活動は、ふるさと活動としても大切なのではないでしょうか。



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