タナゴはため池などをおもなすみかにしています。
ため池は、定期的に池干しをすることにより、二枚貝が住みやすいきれいな水になります。
そうして、タナゴと二枚貝は生きてきました。
里山の自然は、人が手を入れてきたからこそ健全な生態系が保たれていたのです。
昔の農家の人たちは、水田に水をひくためにため池をつくりました。
池はほうっておくと、植物が生えてきたり、泥がたまったりします。
そうなると、ためられる水の量が減ったり、水質が悪くなったりして、おいしいお米ができなくなります。
そこで農家の人たちはため池の良い水を保つため、定期的に池干しをして、きれいなため池を管理してきました。
池干しは、古くから伝わるため池の管理方法です。
まわりに生えていた草は、牛のエサになりました。
池の底を抜いて、泥は田んぼの肥料になります。
とれた魚は、みんなでごちそうです。
水を抜いている間に、ため池の修理をします。
池をかわかしたあと、きれいな水をひきます。
池干しをしたため池は、泥が減って、水がきれいになり、生き物もよろこびます。
現在ではダムができて、農業にとってため池は大切でなくなりました。
農業が機械化され、農家が少なくなりました。
池干しはあまりされなくなってしまいました。
泥がたまって、貝がいなくなります。
貝がいないと、タナゴは卵を産めません。
外来魚が放流されて、増えてしまいます。
そうなると、タナゴがいなくなってしまいます。
池の貴重な生き物を守るため、ため池の池干しをします。
増えてしまった外来種の駆除をします。
タナゴや貝を救助します。
しばらく池をかわかすと、泥が減ります。
そのあと水を入れて、タナゴや二枚貝を元の池にもどします。
新しい池干しには、農家の人、地域の人、子どもたち、生き物の専門家や学生、都会の人、そしていろいろな国の人たちがいっしょにおこなっていけることを願います。
里山の生物多様性は、みんなの力で守っていきます。
文 : 峯 和也